【タキロンシーアイ】木目の新スタンダード『ベルビアンWR』誕生~選択肢が多く、大変な木目選択に! Kikuchi Mie

企画から製造まで一貫した開発体制!

株式会社トラスの広報担当です。
この度広報部は、建材検索サービス「truss」に掲載していただいている建材メーカー各社の素敵な商品を、取材形式でピックアップしていく企画を展開していくことになりました。
インタビュー第三弾は【タキロシーアイ株式会社】さんです!

タキロンシーアイ株式会社は、床材製品から各種防災・減災製品やデザイン性に優れた化粧材までインテリアや建築物の内外装用資材を幅広く製造・販売しています。

そんな、タキロンシーアイ株式会社さんより、これぞ木目の新スタンダードシリーズとなり得るであろうベルビアンの新製品『ベルビアンWR』が凄い!というお話を聞き、トラス広報部はさっそくその商品についてインタビューさせていただきました。
インタビューに答えてくださったのは、タキロンシーアイ企画推進チーム小牧氏、同柴山氏、そしてタキロンシーアイ滋賀工場技術グループの武村氏です。

左から、北村さん、荒木さん、橋口さん、武村さん

ー35年ぶりの開発ということですが、『WR』のコンセプトや開発の経緯を教えてください!

【小牧】『WR』というのはウッドレギュラー(WR)という意味がありまして、木目の新定番を作り直そう!という思いが込められた名前になっているんです。建材のカテゴリは粘着剤付きの化粧フィルム、となっていまして、基本内装用途で使っていただけます。
ベルビアンには、すでに1980年に発売したベーシックな価格帯の木目シリーズ『W(ウッド)』と1985年に発売開始した『SW(スーパーリアルウッド)』という、木目の質感をさらに追及した木目柄シリーズがあります。『W』はその価格帯から、汎用性やトレンドをいち早く反映したり、変わった柄や変わった木種などバリエーションを増やす立ち位置に、『SW』は究極にリアル、本物を追及した木目という立ち位置です。
そこから新しい木目シリーズの開発というのは35年ぶりで、今回新たなカテゴリーを立ち上げたのには目的がありました。
色々な木の種類がある中で『WR』は、インテリアで定番になっている木種のウォルナットとオークの二種類を、それぞれグラデーションで10段階の展開をしています。10段階のグラデーションというのは、木目が同じパターンで色だけが変わっていく展開としています。
これで定番の素材の中から、イメージに合う色味を探しやすくすることが狙いです。設計デザイナーの方々にとって時短になり選びやすく、また仕様変更しなければならないとき、色を変えなくてはならないときにもすぐ近くに色違いの品番があります。『W』と『SW』の中間の価格帯で、便利に使える木目、選びやすい品揃えということで作り出したシリーズになります。

ー木目を選ぶときのとっかかりに『WR』を?

【柴山】そうです。木目選びというのは、選択肢が多く、こだわればこだわるほど大変になります。最初の設計段階で図面に落とし込むのに、とりあえず『WR』から選んでもらい、その後じっくり検討してもらう、というように『WR』をカラーチャートとして便利使いしてもらえたら良いと思っています。

ベルビアンWR全20種類(柄2種類、色それぞれ10種類)

WR-2120,WR-2190のサンプル

W-390,W-202のサンプル

SW-158のサンプル

W-390,W-202(左)とSW-158(右)のサンプル比較

ー送っていただいたサンプルの『WR』も、『SW』と劣らず本物の木目みたいですよね!(WRを触りながら)

【小牧】ありがとうございます!手触りや表面のエンボス加工も、新しい試みを投下しているので、単純に選びやすくて簡単だというだけでなく、当然質感や表情も担保したうえで更に便利になったので、そういった意味でも多くの方々に使っていただければと思い売り出しました。

ー技術開発面での、そういった新しい試みで苦労したお話など、詳しくお聞かせください。

【武村】『SW』はエンボスの上にさらに加工をしていますが、エンボスだけで質感を表現しているのが『W』と今回の『WR』です。今回の『WR』は新表現エンボスの開発から始まり、その表情にはかなりこだわっているので、それが自分のイメージしているものになりきらず、何度もやり直す作業に相当力を要しましたね。

【柴山】エンボスを押す前の段階でも苦労していますよね。版ロール(エンボスロール)を作るのも今回新しい開発となったので。

【武村】版ロールをつくるにあたって大元の原稿がいるので、どの原稿が思っているものに合うかというのを探すのも大変でしたし、それが自分の思い描いているものに初めはならず、エンボスは業者に頼んで作っているのでなかなか意思疎通ができないというのも苦労しました。

ー工場で作る流れとしては、色がついていてそこにエンボス?がつくのですか?柄はどのような流れでできるのでしょうか?

【武村】ベースとなる原反という塩ビのシート(着色したビニールシート)をとり、その上に柄を印刷します。その上に保護フィルムという透明のシートがあるのですが、それと貼り合わせる段階で同時にエンボスを入れます。それから裏に粘着剤をつけてベルビアンとして商品になるという流れです。

ー凹凸のつけ方によって光の具合というのはやはり変わるものでしょうか?

【武村】そうですね。エンボスの艶感でも見え方は変わってきますし、どれくらいの感じで設定したら良いのか分からない状態で作り始めたので、なかなか思った通りにならないんです。
絶妙な光の反射のしかたが出ないと、リアルな木っぽさが出ないんですよね。そこをどうしたら表現できるのかというところが相当苦労しました。

ー作っては確認してというのをひたすら繰り返していくという感じですか?

【武村】はい。テスト版をベビーと呼ぶのですが、テスト版で表現が良くても実際の本ロールにするとまた変わってくるんですよ。そこも加味しながらどうするか、その辺が未知数なところもありまして・・・。

ーテスト版と本番の時の違いというのは?

【武村】そうですね。我々本番ロールを使う時に検収といって、初めのテストをするのですが、テストするときはそんなに数量を流さないので、そこまでスピードはあげないんです。スピードをあげないということはよくエンボスが入るということです。それで良し!となって実際の生産スピードにするとエンボスの入りが甘くなる、ということがありました。ですのでテスト時点で、ある程度スピードを上げてもらって試したりしましたね。

ーエンボスの入りが甘いというのは?

【小牧】エンボスって、要は金属の板があって凹んでいるんです。フイルムはシートの厚さが0.15ミリで、そこに型を押しつけて階段状に凹みをつけるんですよね。
普通のシャチハタをイメージしていただければ、思いっきり押すときと軽く押すときとでは印影が違いますよね。凹版なのでシートを押し付けたときに、熱で塩ビを柔らかくして押すので、ゆっくりなほど熱が入って柔らかくなりますから、型にぴったり沿うように入っていきますが、スピードがあがるとあまり熱があがらないまま離れてしまうので、甘くなるという言い方をするんです。なので版の表情そのままを再現するには、強く押した方がいいのですが、実際の生産スピードはそれを一瞬で駆け抜けていきますので、作って試したはいいけど実際流れてきたときにどうなるかまで見据えて版ロールを作っていかなければいけないと。より良いものを作っていくためにダメ出しと試作を繰り返していったという感じです。

WR-2190のサンプル

ーカタログにも記載ありますが、意匠性だけでなく防火や防カビなど機能的にも優れているシリーズですよね、そのあたりで技術的に大変だった部分などありますか?

【小牧】技術面では先ほど説明の通りのやり方なんですが、不燃や防カビなどの機能があるので、定められた規定範囲で製造すればその認定はとれることになります。逆に言うとそれが足枷になってしまい、突飛なことができないと言いますか、仕様を極端に変更すると認定から外れてしまいます。厚みの制限もあったり。その中でどれだけ突き詰められるかというところで、0.15ミリの中に段階をつけてエンボスを押していくことがどこまでできるかなど薄い中での探り合いというか、そういうところは大変です。また、今回の『WR』は該当しませんがベルビアンEXシリーズなど、外装用の全く別の機能というのはそれぞれ違う素材を使ったり新しい開発だったりしますので、その狭い範囲のなかで正解を見つける仕事は大変だと思います。突き詰めた質感を求めたり、製造の限界もありますので。

ー企画段階での苦労などはどんなものがありましたか?

【柴山】そうですねー。使いやすいと思ってもらえるような色合いを絞るのは、簡単に見えてとても大変でした。作りたい色合いとか種類はたくさんあるんですが、無制限に数はつくれないので、そういうところから絞り込んでいく作業。ウォルナットにしろオークにしろ、その木らしい色というのがあるので、今回はまずそこを最優先して、同じ木でも色の幅があるのでそれは取り入れ、とはいえ、インテリアで使われる材料のため今の時流から外れたものというのは選ばれないので色のトレンドを踏まえつつ、あくまでもレギュラーになるものというところで色の選定は大変でした。
もちろん他社さんのラインナップも見据えて、売れ行きの良い悪いとか数字も見ながら色柄も見ながら・・・最初膨大な数に広げてから絞っていくのですが、その作業が大変といえば大変です。

ーなるほど、確かにその作業は膨大で大変そうです。

【柴山】一番最初は、あまり人には見せていないのですが、何十色とある中から自分で売り上げなどを調べて絞っていきました。最終的に並んだところもイメージして、並びが美しく、良いなと思ってもらえないと見てもらえないのでそこは意識しますね。なるべく絞るのですが、絞り切れない段階で武村に渡します。例えば20点色を挙げたら20点試作を作らないといけないのですが、ただそれで色を20点きっちりでやってしまうと実際刷ってみたら上手くいかなかったり、並べてみたら違和感があったりするんですよね。私が選ぶとかなり多めになってしまうので、武村にバトンを渡す感じになってしまうのですが(笑)絞り込むのは大変ですね。

WR-2120のサンプル

ー武村さんも色によってこれは出来そうだなとか、無理がありそうだなとかそういった感覚はありますか?

【武村】それはありますね。それぞれの色に合った良く見える出し方があって、出れば良いということではないので、そこでこちらも苦労します。

【小牧】あと印刷版によっても出せる出せないの経験、知見もありますよね。

【武村】今までグラデーションでというのはやったことがなかったので、一つだけでも出し方が変わると違和感が出てきますので、難しかったです。

【柴山】例えば私が12色でお願いしたとしても、間を取って調整した色を出してくれたりしているので、実際の数以上を武村は作ってくれているはずなんです。当然作っている途中の段階で電話で(今回に関してはほとんど電話でしかやり取りできなかったので)もっとこういう色が出せるか、最終的にどの色を詰めていこうかなど常に相談しながらやっていました。

【小牧】柴山は元々お客さんだったんです。ベルビアンを使う側の設計の人間だったので、素材のことも現場のこともよく知っていますし、その立場で意匠開発しています。

【柴山】設計の方が現場合わせで柄を選ぶ場合はもちろんですが、設計(デザイン)イメージに近い素材を選ぶ場合は更に大変だと思います。こだわればこだわるほど。建築の仕上げ材は本物の木もあれば他の素材もあり、化粧フィルムというのは大抵最後に選ばれる素材なんです。ですから何百種類とある素材の中から選ぶのは大変なので、「ここから選んではいかがですか?」という提案として『WR』を作りました。
最初のイメージを探る上では、とりあえずでも入れておいてもらえれば当たりがつけられるのかなという、そんなツールになってくれるのかなと思っています。

【小牧】ちなみにサンプルは無料でいくらでも送れますので、どんどん注文してください(笑)

【柴山】ぜひサンプルを一度手に取って触って、覚えてもらいたいです。そして手元に置いていただき、困ったときにサッと使ってもらえればなという感じです。

WR-2120,WR-2190のサンプル

ー実際に施工する際の注意点や変わったところなどはありますか?

【小牧】今までの『W』や『SW』と特に変わらないです。注意点もないですし、一般の壁装フイルムを扱う職人さんに任せれば問題なくきれいに貼っていただけると思います。

ー新しい商品ということで、今後どのように売っていきたいという展望やどういうところで使うのがおススメ!などはありますか?

【小牧】お客様に、やはり木目のスタンダードとして便利だとスペックしてもらえるような商品という認知が行きわたる様にしていきたいですね。そこで結果がついてくるというのが一番理想形です。もちろん、実際に採用されている物件は商業施設や公共施設、オフィスなど増えてきてますし、もっとメジャーな物件も含めて広まっていってほしいなというのもあります。
10月に出したといってもまだ半年くらい前なので、我々の業界では2年くらい後に結果が付いてくると言います。内装仕上材なので、すぐ売れてすぐ結果に結びつくというよりも、スペックされて建築建物が立って最終的に売れるというところまでのスパンが長いので。
販売からもちろん手ごたえは出ていますが、このままで良いと言い切るにはまだ情報が足りないと思っています。当然この20柄で終わりという企画ではなく、この夏の改定に向けて継続していきますし、さらにそこからどうしていくのかというのは長期的・中期的に見ながら進めていく予定です。

ー次に作りたいものはありますか?ベルビアンのシリーズ『WR』から更に飛躍した商品など。

【小牧】ぶっちゃけどこまで話して良いのか、、

【柴山】内緒です(笑)

【小牧】期待しててくださいとしか言えないですね(笑)

ー製品開発にあたって、タキロンシーアイというメーカーとして、どのようなスタンスでこれからも作り続けていきたい、という想いなどはありますか?

【小牧】ベルビアンはメーカーとしては老舗です。そして滋賀の工場で一貫して作っている唯一のシートメーカーなんです。開発企画と製造とがやりあいながら検討して作っていけるような環境というのは他社にはない部分です。売り上げシェア的には、強くはないかもしれませんが、他社にはできないところ、狙いどころ、良いところを伸ばして知名度を上げていきたいと。更に当然ですが質感・表情・デザインは担保した上で、今回の『WR(ウッドレギュラー)』の痒い所に手が届くというコンセプトもそうですが、ここの製品に任せておけば安心だ!となるメーカーにブランドになっていけたら良いなという思いがあります。