建設業の会社のホームページの作り方 kubota

これまでおそらく1,000以上の設計事務所や工務店のウェブサイトを見てきましたが、それだけを見てここに仕事を頼みたいと思わせるものはあまりありませんでした。

 

自分でも何が理由でそう思うのか、よくわかっていなかったのですが、先日自分が家を建てるとして問い合わせるかもな、と思った会社を見つけました。それは株式会社リブアクションという会社です。(※1)

(※1 久保田の個人的な見解であり、会社としての見解ではありません。)

 

何が良いと思ったのか、考えてみたのですが、まず自分たちのスタンスをトップ画面で提示しているのが良い点なのだと思いました。

どういう人をターゲットにしており、うちの会社では他の候補先と比べて何が違うのかをまず明確にしています。具体的にはアーキテクトビルダー(※2)という立場で設計+施工を一貫して担当します、ということ、そしてデザイン性や設計の自由度こだわるスタンスです、というと述べています。施工をできる体制を自社内で内製しているということなので、そこまでしっかり責任を持ちます、またアーティスティックなデザインだけにこだわるわけではありませんという意思表示ですし、また、設計の自由度にこだわるクライアントに対応します、という意思表示をして、安くはないですよ、と暗に伝えていると思います。そのため、この時点でクライアントは自分に合うかどうかが比較的明確になります。合わないと思えばこの時点で候補から外れます。会社として望まないお客さんにこられても仕方ない部分はありますのでここでソートをかけていると言えると思います。

(※2) 建設メディアのカリスマ(と私が思う)、新建新聞社三浦社長が押していた概念のように思います。

 

自分はこの会社のスタンスに合いそうだと感じたクライアントはその先のページを見ます。そこで最初に謳われているのが構造についてです。建物は人が中で時間を過ごすため命に関わることと、大きな投資になることその安全性はやはり考慮せざるをえない点です。そこで木造のSE構法(※3)とRC外断熱構法(※4)を採用しています、と明記しています。専門にその構法を研究開発している人たちが提示しているものの中で、木造であれば耐震性、RC造であれば断熱性能という居住性を重視したものを選択していると明示しています。これによりデザイン性は考慮するものの、安全性や居住性は最重要視しますとPRしているわけです。

(※3)SE構法とは木造でも標準化された木材を使用することで構造計算をしやすくし、耐震性を考えられたラーメン構造。耐力壁に頼らなくてもすむ形になっています。そのため内部構成の自由度が上がります。

(※4)RC外断熱構法とは、熱を蓄えやすく、夏は熱いままになり、冬は冷たいままになるコンクリートを断熱材で外から覆ってやることで、断熱性能をあげ、居住性をあげ、内部結露を防ぐ構法です。有名なメーカーに東邦レオがあり、この会社のページにリンクしています。

 

そのあとで自分たちがこだわりがある要素についてまとめています。

具体的にはキッチン、ラジエーター式冷暖房、階段、ガレージハウス、湿式工法の水周り。この辺りはお好みである要素も強いので、サブの要素になるのかと思います。自社でキッチンを作ってまでこだわっているんだなというのは興味深かったです。この会社を知ったのもどちらかというとキッチンを調べていた時の流れです。

 

そしてそのあとで頼んだあとの設計時、と施工時のイメージを共有。ここまでで直接問い合わせをしても良いし、現物を見て考えたい方はショールームもあるのできてください、という動線です。ちゃんとお客さんがどういう流れでウェブサイトを見て、どういう動線で集客するのかを考えられていると思います。

 

どの会社にもその組織形態によって頼む時のメリットデメリットが存在するので、それをわかりやすく伝えるとともに、最初に安全性と快適性を謳っておいて、そのあとで自社のこだわりや得意とする領域を伝えていく、という流れになっています。クライアントがこの会社が自分が求めているものにあっていそうかどうか判断できる要素を重要な順番に並べてやる。そして全てのクライアント候補にいい顔をするような曖昧な文言ではなく、具体的にうちの会社はこのような建物を提供します、それに興味があったらきてください、というスタンスを、写真だけで提供するのではなく、要素を具体的に出してPRしているのが良いのだと思います。